ローズウッド・レジデンス
ROSEWOOD RESIDENCES
ディーキン エリザベス 百合香[アスタリスク]
グローバル不動産ホスピタリティ・ラグジュアリーレジデンス担当
ローズウッド・ホテルズ&リゾーツは、主に世界のハイクラス層から支持されるラグジュアリーホテルの一大ブランド。創業は1979年。テキサスの石油王であったハント家一族のひとり、キャロライン・ローズ・ハント氏が米国・ダラスに開業したホテル「ローズウッド・マンション・オン・タートル・クリーク」(RosewoodMansion on Turtle Creek)を発祥としている。
ローズウッドは、高級(ラグジュアリー)ホテルのさらに上にあるカテゴリ「ウルトラ・ラグジュアリー」クラスを誕生させた当事者であり、今もそのトップに君臨し続けている。
事業者
ローズウッド・ ホテルズ &リゾーツは現在、香港の大手デベロッパー「ニュー・ワールド・デベロップメント」(New World Development)グループ傘下として、世界11か国で18以上のホテルを経営、さらに今後18のホテルの開業を控えている。
ホテル事業は、パリ、香港、ニューヨーク、ロンドン、アブダビなどで展開する「都市型」と、アジアや北中米などで展開する「リゾート型」の2タイプからなる。前者は既存建物を活かしたものが多く、後者は新規開発がメインである。ホテル・レジデンスのタイプも同様で、都市型とリゾート型の両方で「ローズウッドレジンデンス」シリーズが展開されている。
知名度と信用
米国第35代大統領のジョン・F・ケネディお気に入りの住まい“ニューヨークのホワイトハウス”として知られ、いまでも各国の王族やセレブリティが愛用する「ザ・カーライル」(The Carlyle)はローズウッドの運営である。
また、パリのコンコルド広場に面した1758年築の歴史的ラグジュアリーホテル「オテル・ドゥ・クリヨン」(Hôtel deCrillon)を運営するのもまたローズウッドである。これらのことからもわかる通り、ローズウッド・レジデンスの一番の魅力は世界の富裕層、セレブの間での知名度の高さと、彼らからの寵愛が得る絶対的な信用にある。
知名度と信用は商品価格設定にはっきりと表れている。ラグジュアリーレジデンスとして、他の類似した商品と比べ格段に高い販売価格(プレミアム)が設定されているのは、まさしくブランドの強さによるものにほかならない。ウルトラ富裕層が宿泊するローズウッド・レジデンスの購入者層はホテル利用者と同様に世界のウルトラ富裕層となっている。
サービス
24時間のセキュリティ、コンシェルジュ、プール・フィットネスなど、生活全般のアメニティサービス、設備はほぼすべて完備されている。それゆえ、ローズウッドならではの特徴と言えるサービスはなさそうである。強いて挙げるならば「ホテルレンタル・プログラム」がある。リゾート型のレジデンスオーナーは所有するユニットをホテル客室として貸し出し、収益配分を得るという仕組みである。
ローズウッド・プーケット ブランドが商品価値に占める割合が高い
施設1 Rosewood Phuket
ローズウッド・プーケット
タイ|プーケット
600 mにわたるエメラル・ベイ・ビーチ目前の丘にあるリゾートホテル併設のレジデンス。ホテルはヴィラ・タイプで客室数は71 室、レジデンスは32 戸、その他3つのレストランとバーを併設している。レジデンスの仕様は2ベッドルームから9ベッドルームで、広さは約700~2,000㎡まで。各住戸には専用プールがあるほか、居住者はホテルの全施設が利用可能である。
販売価格は1 住戸あたり推計で5 億円超(坪当たり約235 万円以上)。現地不動産会社よると、プーケットのハイエンド向けレジデンスの相場は1坪あたり105万円であり、倍以上の価格帯となる。
施設2 Rosewood Mayakoba
ローズウッド・マヤコバ
メキシコ|プラヤ・デル・カルメン
メキシコ東部のビーチリゾートに建つホテルレジデンス。ホテル客室は130室、レジデンスは33戸。レジデンスの仕様は2ベッドルームから4ベッドルーム、広さは約480~745㎡。施設付帯の居住者専用施設としてフィットネスセンターを備えるほか、18ホール・ゴルフコースを含めホテル付帯施設のすべてを利用できるサービスがある。販売価格は、1戸あたり推計で約2億8,000万円から約6億円となっており、面積あたりの価格は現地のハイエンドレジデンスの相場からみると約2倍の価格設定となっている。
※本掲載記事は2017年月間プロパティマネジメント掲載記事からの転用です。
本編はこちらからご覧いただけます
PM2017年2_4月号記事(世界の超高級ホテルレジデンス)第2回