GOYOH ウルトラ富裕層向けユーティリティ

 

会社・商品

「GOYOH」(ゴヨー)は、ラグジュアリーホテルやコンドミニアム、レジデンスなどに宿泊滞在するウルトラ富裕層向けのユーティリティである。不動産コンサルティングのアスタリスクが2018年3月に開発した。内容は、iPadなどのデバイス上で動くサードバーティ型のコンシェルジュサービスシステムで、利用者は専用デバイスを使ってショッピングや食事、移動、旅行、エンターテインメントなど約10種類のカテゴリーから欲しいサービス項目を選び楽しむしくみだ。もちろんシステムは多言語に対応している。現在、北海道ニセコ町にあるリゾートヴィラで試験導入中。同ヴィラは各国の王室や各界の著名人などが数多く訪れるニセコエリア屈指の高級リゾート施設である。

開発経緯

アスタリスクは、国内外でラグジュアリーホテルやコンドミニアムの企画やマーケティング業務などを手がけている。GOYOHの事業化に至った背景について代表取締役社長 伊藤幸彦氏は次のように話す。「グローバルな富裕層向けのホテルやコンドミニアム開発では、建物ハード面の作り込みも大切だが、重要なのはソフト面にある。つまり、利用者にとって他に代えられない体験をいかに創造できるかで、そのホテル、コンドミニアム自体の価値が決まる。日本の開発者にはまだこうした部分にノウハウ蓄積がなく高いハードルであることに気づいた。そしてノウハウが豊富にある自らでサービス開発することにした」。

元来日本では、地域ごとの食や文化などの観光資源が非常に豊富でサービス品質も高いといわれる。「いまある魅力を再定義しカスタマイズすることで、日本の、その地域ならではのラグジュアリーホスピタリティを十二分に提供できる」と伊藤氏。

特色

GOYOH最大の特徴は、提供できるコンテンツの豊富さと奥深さであろう。百貨店や旅行会社など大手事業者との提携を核に、全国規模でありつつも展開エリアごとにも独自の提携を結び、厳選された超富裕層向けの特別な商品とサービスを揃え、質・量ともに従来のコンシェルジュサービスを超える高いレベルを実現する。具体的にはホテルなどの併設施設やサービスのシームレスな利用はもとより、ミシュランの星付きレストランの特別予約、ヘリスキーや美術館の貸し切りなどのアクティビティやエンターテインメント、プライベートジェットから個人用潜水艇など特殊な買い物のアレンジにまで至る。決められたカテゴリーに拠らずとも「MyNinja」(マイ・ニンジャ)というリクエストツールを活用すれば、人間国宝を含む芸術家の話を直接聞きながらその作家の作品を購入するなど、非常に特別な体験もアレンジできる。

導入先はグローバル富裕層をターゲットとするホテルやリゾート施設、あるいはリゾート型のコンドミニアム、都市型の高級レジデンスなどを想定する。対象エリアは東京や京都のほか、ニセコや箱根、白馬などがすでに有力な展開先となっている。「一定の観光資源の蓄積があり、海外富裕層からの注目度も高いリゾート都市へ展開を見込む。また各々の都市やリゾートを相互に接続させることにより、海外富裕層の日本での旅行・ライフスタイル消費だけでなく、当然ラグジュアリーレジデンスや投資用などの不動産への需要にも応える事ができる」(伊藤氏)。

システム導入イメージ(ホテル客室内)

費用と導入メリット

サービスの導入費用は施設規模や端末種類・台数によって異なるが、数十室程度のラグジュアリーホテルやレジデンスであれば、アプリケーションの専用ページ立ち上げや初期セットアップなどすべてのプロセスを含め、プロジェクトベースで数百万円程度~の費用で導入可能。アスタリスクは利用者(ゲスト)のサービス利用代金に応じたマージンを得るしくみ。

GOYOHは一義的には宿泊・滞在する富裕層向けのサービスであるが、広義には施設オペレーターやデベロッパーにもメリットが見込めるサービスともいえる。ラグジュアリーホテルやコンドミニアムのソフト価値を高めることは、滞在期間の長期化やリピート率の向上につながり、ひいては施設・物件そのものの収益、価値、販売坪単価の向上にも寄与するはずである。

「ブランドやサービスを付加することで施設の弱点を補い、プレミアムをつけ10億円を超えるラグジュアリーレジデンスを開発することは海外では確立された手法。近隣の同レベルの物件よりも坪単価で30%~100%ほどのプレミアムが付加される例も多くみられる。今後日本においてもこの要素があるかないかで開発自体の成否が分かれるのは明白と考えている。既存施設はもとより、これから新規開発するラグジュアリー施設についてもウルトラ富裕層を惹きつけるツールとして積極的にGOYOHの導入を検討してほしい」と伊藤氏は話している。

 

※※当コンテンツは、月間プロパティマネジメント誌2018年5月号に掲載された記事を編集して掲載したものです。オリジナル記事PDFは以下リンクよりご覧いただけます。

PM2018年5月号記事(GOYOH)